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〔恒流図の解説〕

 

恒流図(第13図〜第16図)は、各測点の上層(海面下2m〜5m)における観測期間中の平均流で、観測値から周期性流(潮流)を除いたものを、その地点の恒流とみなして季節別に分類して図示したものである。一般に恒流は、隆水や外洋水の流入長周期の潮流あるいは地形(海底地形も含む)風波などに起因する非周期的な流れで、日によってその勢力に消長がある。
したがって、短期間の観測からは詳細に把握することは困難であるが、系統的な傾向をみることはできる。

 

伊勢湾では、季節により次のような特徴のある恒流のパターンがみられる。

 

<春季>3月〜5月
湾奥部と湾中央部に右回りの環流が見られるが、いづれも地形および河川水の影響によるものと推測される。また、湾の東部には、知多半島沿いに南下する流速が0.2〜0.5knの比較的強い恒流が見られる。湾南部の恒流は湾外へ流出する形となっている。

 

<夏季>6月〜8月
春季と同様に湾奥部と湾中央部に右回りの環流が見られるが、湾南部には春季には見られない左回りの環流が現れる。湾奥部及び湾中央部の環流は春季のものと同じ原因によるものであるが、湾南部の環流は地形の影響による恒流に、南東の季節風の影響が重なって発生する左回りの環流である。

 

<秋季>9月〜11月
湾中央部から湾奥部にかけての湾西側に、大きな右回りの環流が見られるが、湾の東部には知多半島沿いに湾奥部から湾口に達する、流速が0.2〜0.7knの比較的強い南下流がある。

 

<冬季>12月〜2月
湾内の恒流は、北西の季節風による影響が比較的大きく、全体的に流速は弱くてパターンが明確ではないが、湾奥部には微弱な右回りの環流が見られる。湾の東部には知多半島沿いに湾奥部から湾口に達する0.2〜0.4knの比較的強い南下流がある。

 

【資料】*「伊勢湾潮流図」 海上保安庁 平成7年

 

 

 

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